バレーボールネーションズリーグ2026(VNL2026)女子の予選ラウンド第3週が、7月8日から12日にかけて大阪のAsueアリーナ大阪で行われました。

日本女子代表にとって、国内のファンの前で戦う大阪ラウンドは予選突破をかけた重要な4試合でした。

対戦相手はブラジル、タイ、トルコ、ポーランド。世界トップクラスの高さと攻撃力を持つチームが集まった非常に厳しい組み合わせの中、日本は2勝2敗という結果を残しています。

特に最終戦のポーランド戦は、敗れれば予選敗退となる状況で第1・第2セットを落としながら、そこから3セットを連取する劇的な逆転勝利。日本は通算8勝4敗、勝点21の6位で予選ラウンドを終え、決勝ラウンド進出を決めました。

大阪ラウンドでは、和田由紀子選手の高い決定力、石川真佑選手を中心としたアウトサイドヒッター陣の安定感、佐藤淑乃選手のサーブなど、日本は随所に強みを出すことができていました。一方で、ブラジルやトルコの高さに苦しみ、高いブロックで攻撃を押さえられてしまい主導権を握られる場面も少なくありませんでした。

この記事では、大阪ラウンドの4試合を振り返りながら、ブラジル、トルコ、ポーランドとの試合で見えた日本女子代表の強みと課題を詳しく解説します。

VNL2026女子日本代表・大阪ラウンドの結果

VNL2026女子日本代表・大阪ラウンドの結果

日本が大阪ラウンドで戦った4試合の結果は、以下のとおりです。

日程対戦相手結果
7月8日ブラジル1-3で敗戦
7月9日タイ3-1で勝利
7月11日トルコ1-3で敗戦
7月12日ポーランド3-2で勝利

ブラジル戦では1-3で敗れましたが、第2セットを奪い、第4セットも23-25まで競り合いました。続くタイ戦では3-1で勝利。第3セットを落としたものの、第1セットを25-15、第2セットを25-21で取るなど、序盤から終盤まで試合を優位に進めました。しかし、トルコ戦では再び1-3で敗戦。最終日のポーランド戦を前に、日本は「勝てば決勝ラウンド進出、負ければ予選敗退」という厳しい状況に追い込まれます。その大一番で、日本はポーランドに3-2で逆転勝利。大阪ラウンドを2勝2敗で終え、予選6位で決勝ラウンドへの切符を手にしました。

数字だけを見ると2勝2敗と五分の成績ですが、ブラジル、トルコ、ポーランドという世界的な強豪国がいる組み合わせの中で、最後には自力で予選突破を決めたことには大きな意味があります。

ブラジル戦|高さとブロックに苦しんだ大阪ラウンド初戦

ブラジル戦|高さとブロックに苦しんだ大阪ラウンド初戦

大阪ラウンド初戦の相手はブラジル。日本は第1セットを20-25で落としたものの、第2セットは25-19で奪取。しかし、第3セットを19-25、第4セットを23-25で落とし、セットカウント1-3で敗れました。

ブラジルのブロックが日本の攻撃を制限

この試合で最も大きな差となったのがブロック。ブラジルはチームで13本のブロックポイントを記録したのに対して日本は2本に留まっています。

日本は相手ブロックを利用するブロックアウトやフェイント、速いテンポの攻撃で対抗しましたが、勝負どころではブラジルのブロックと正面から勝負して捕まる場面が目立ちました。

ブラジルは単に身長が高いだけではありません。日本のセッターから上がるトスの方向を読み、両サイドの攻撃に対して素早くブロックを揃えていました。特にサーブカットの乱れが要因でパスがネットから離れ、攻撃の選択肢が限定された場面では、日本のスパイカーが2枚、3枚のブロックを相手に打たされる形になっています。

日本の攻撃は、サーブレシーブが安定し、ミドルブロッカーを使える状況では高い効果を発揮します。一方、レシーブが崩れてハイセット中心になると、ブラジルのように高さと機動力を備えたブロックに対して、決定率を保つのが難しくなってしまいます。

この点は、ブラジル戦だけでなく、今後世界のトップチームと戦ううえでも重要な課題と言えるでしょう。

第4セットを取り切れなかったことが課題

日本にとって惜しかったのが、第4セットです。23-25という僅差で落としており、もう一度流れをつかめればフルセットに持ち込める可能性がありました。

今の日本の実力であれば例え強豪国との対戦でも、序盤から一方的に押される展開になるとは限りません。日本の守備が機能してセッターがトスワークに集中できれば、終盤まで競り合う展開に持ち込むことができます。

だからこそ重要になるのが、20点以降の戦い方です。相手がサーブを攻めてくる場面、ハイセットでブロックが2枚・3枚付いてくる場面でも、サイドアウトを確実に取り切れるか。ブラジル戦は、日本が世界トップクラスに対抗できることを示す一方、競ったセットを勝ち切るための攻撃力が必要であるという課題を発見する試合でした。

タイ戦|取りこぼしを避けた重要な勝利

タイ戦|取りこぼしを避けた重要な勝利

ブラジル戦の翌日に行われたタイ戦は、日本が3-1で勝利しました。セットスコアは25-15、25-21、22-25、25-22。決勝ラウンド進出、メダル獲得を狙う上で、順位が下の相手に取りこぼすことなく、確実に勝つことが重要です。そういった意味で、このタイ戦は大阪ラウンドにおける重要な1勝でした。

タイの速い攻撃に対応

タイは日本と同じく、世界の強豪国と比べて高さやパワーで相手の優位に立つタイプのチームではありません。その分、速いテンポのトスワーク、粘り強いディフェンスを得意としています。日本にとっては、比較的似たスタイルを持つ相手との対戦でした。

日本は第1セットからサーブで崩して、相手セッターの選択肢を限定することを意識していました。相手の単調な攻撃に対して、ブロックとディフェンス(レシーブ陣のポジションニング)の関係を整えながら主導権を握りました。

日本側のミスが続いてしまい、第3セットを奪われてしまいます。第4セットをところどことでタイの速いテンポでの攻撃にペースを奪われる場面もありましたが、25-22の接戦を制します。

ブラジル戦の敗戦を引きずらず、きっちりタイから勝点3を獲得したことで、予選突破につ弾みをつけます。

トルコ戦|和田由紀子が27得点も高さを崩し切れず

トルコ戦|和田由紀子が27得点も高さを崩し切れず

大阪ラウンド3試合目のトルコ戦は、日本が1-3で敗れました。セットスコアは22-25、25-22、22-25、22-25。4セットすべてが3点差以内という、非常に見応えのある試合でした。結果は1-3でしたが、内容としては日本にも十分に勝機があった試合だったと思います。

和田由紀子が両チーム最多の27得点

日本で圧倒的な存在感を示したのが、オポジットの和田由紀子選手。和田選手は26本のアタックと1本のサービスエースで、両チーム最多となる27得点を記録しました。

和田選手の強みは、パワー・勝負強さ・強打以外に得点を狙える選択肢を持っているというところです。相手のブロックが揃っていても弾き飛ばす強打、相手ブロックの位置を見てコースを打ち分ける技術、ブロックアウト、フェイントを狙える判断、そして、何より高いブロックに臆さずチャレンジできるメンタルが素晴らしいです。

日本は身長で上回るトルコに対し、和田選手の決定力を軸に互角の展開へ持ち込みました。これまでの日本女子代表は、守備力やコンビネーションが高く評価される一方、苦しい状況で得点を任せられるオポジットの存在が課題になることもありました。

この試合で見せた和田選手のパフォーマンスは、日本にも世界と正面から打ち合えるオポジットがいることを証明する試合となり、オリンピックに向けて強力な武器を示した試合でした。

バルガスを中心としたトルコの攻撃

トルコでは、メリッサ・バルガス選手が19本のアタックと1本のサービスエースで20得点を記録しました。

さらにミドルブロッカーのシネアド・ジャック=クサル選手が14得点、ゼフラ・ギュネシュ選手が13得点。アウトサイドヒッターのイルキン・アイドゥン選手も14得点を挙げています。

バルガス選手は最も評価されておるスパイカーではありますが、トルコは他にも強力なスパイカーを擁する強豪国。両サイドに世界最高峰の高さと決定力を有した選手がいる上に、ミドルも得点源として機能することができるため、セッターにAパスを返球されてしまうと手がつけられません。

日本がバルガス選手の攻撃を凌いでも、相手にチャンスボールを返してしまうと、次のラリーでクイックやパイプでとどめを刺されます。バルガス選手を中心としたこの火力の高さが終盤の得点差につながりました。

22点以降の1点をどう取るか

この試合で注目したいのは、落とした3セットがすべて22-25だったことです。スコアからも日本とポーランドに大きな実力差があったわけではないことがわかります。

20点までは互角に戦えていても、終盤でトルコがサーブ、ブロック、エースで決定力を差を見せ、日本にセットを取らせない展開だった印象です。

世界トップレベルの試合では、1プレーで流れを決めてしまうこともあることから、相手にチャンスをあたえるな安全なプレーを選ぶだけでは勝ち切れません。相手も高い確率でブレイクポイントを取るため、どこかで強いサーブにトライし、相手の攻撃に対してブロックまたはディグからポイントを奪う必要があります。

トルコ戦は、日本の組織力や和田選手の攻撃力が世界トップクラスに通用することを示した一方で、「競った展開をものにするための攻めきれる力」の必要性が表れた試合でした。

ポーランド戦|0-2からの逆転で決勝ラウンド進出

ポーランド戦|0-2からの逆転で決勝ラウンド進出

大阪ラウンド最大のハイライトとなったのが、最終日のポーランド戦です。日本とポーランドは、決勝ラウンド進出の最後の枠を直接争う状況にあり、勝ったチームが予選を突破する大一番でした。

日本は序盤から劣勢で第1セットを20-25、第2セットを14-25で落とします。特に第2セットは、ポーランドの高さと攻撃力に押され、日本は反撃することができず大差をつけられてセットを落としてしまいます。

しかし、0-2の窮地から大きく流れが変わります。第3セットを25-19、第4セットを25-21で奪い返し、勝負は最終第5セットへ。最後は15-13で競り勝ち、セットカウント3-2の逆転勝利を収めました。

アタック・サーブでの得点でポーランドを上回る

ポーランドは、マグダレナ・スティシャク選手やアグニエシュカ・コルネリュク選手ら、高さとパワーを持つ選手を有する世界屈指の強豪国です。

それでも日本は、アタックでの得点が68-56、サービスエースが6-2とポーランドを総得点で上回りました。高さで劣る日本がポーランドから68本のアタック得点を挙げたことは、非常に大きな意味を持ちます。

3セット目以降、守備から繋ぎ(二段トス)、繋ぎ(二段トス)から攻撃への切り替えが機能し、苦しい展開からでも得点を取れるバレーボールを展開していました。

第1・第2セットでは、ポーランドの高さとパワーの前に、守備から攻撃に繋げられる場面が少なくなってしまっていましたが、第3セット以降はブロック・守備の連係・繋ぎが機能して、優位な展開を作ることができていました。攻

日本が目指すバレーは、粘って相手のミスを待つだけのバレーではありません。高い守備力を攻撃回数の増加につなげ、自分たちから得点を奪うチャンスを作り出すスタイル。ポーランド戦の後半は、その形がよく表れていました。

和田由紀子が再び27得点

ポーランド戦でも、和田由紀子選手が27得点を記録しました。石川真佑選手が18得点、佐藤淑乃選手が16得点で続き、和田選手だけではなく、サイドアタッカーの全員が得点を重ねています。

和田選手はトルコ戦に続いて27得点を挙げ、重要な2試合で日本の攻撃をけん引しました。オポジットに安定した決定力があることで、相手ブロックの石川選手や佐藤選手への対応をワンテンポ遅らせることができます。

また、石川選手はこの試合でVNL通算1,000得点を突破。代表チームのキャプテンとして守備やサーブレシーブを担いながら、得点源としても結果を残しており、日本代表の強さを象徴する選手に成長しています。

佐藤淑乃のサーブが流れを変えた

佐藤淑乃選手は、ポーランド戦で4本のサービスエースを記録。さらに最終セットのマッチポイントでは、ネットインしたサーブが相手コートに落ち、決勝点となりました。

日本がブラジル、トルコ、ポーランドのような高さのあるチームを倒すには、いかに相手に理想的な状態で攻撃をさせないかです。

強いサーブでレシーブを崩せれば、相手はクイックの選択肢を封じられ、攻両サイドに上げるしかなくなります。相手の攻撃が単調になればなるほど、日本のブロックとディフェンスも機能しやすくなる。ポーランド戦では、佐藤選手のサーブが単なる得点だけでなく、その後のブロックと守備を助ける役割も果たしました。

大阪ラウンドで見えた日本女子代表の3つの強み

大阪ラウンドで見えた日本女子代表の3つの強み

1.和田由紀子という明確な得点源

大阪ラウンドで最も大きな収穫の一つが、和田由紀子選手の活躍です。

トルコ戦とポーランド戦で、それぞれ27得点。相手のブロックが高く、ラリー終盤で難しいトスが上がる状況でも、得点を奪い取れることを証明しました。当然ですが強豪国ほど、ブロックの完成が速くて高く、得点を取ることは容易ではありません。

常に強烈なサーブで攻められ、いいトスをいい状態で打てる機会も少なくなります。ブロックにしっかりと付かれても安易なフェイントを仕掛けることなく、パワーとコースをつく技術で得点を奪える攻撃力は世界トップレベルだと思います。

2.複数のアウトサイドヒッターが得点できる

石川真佑選手、佐藤淑乃選手を中心に、アウトサイドヒッター陣が攻守で存在感を示しました。

アウトサイドヒッターは、アタックだけでなくサーブレシーブやディグでの貢献も求められます。特にサーブはアウトサイドヒッターを狙ってきます。そんな守備の負担を抱えながら得点を重ねるのは簡単ではありません。それでもポーランド戦では、石川選手が18得点、佐藤選手が16得点を挙げました。

和田選手を含めた3人が安定して得点できている状態を維持できれば、相手はブロックの的を絞ることができません。誰か一人の調子が上がらない試合でも、別の選手が補える選手層の厚さはチームのクオリティを維持するために重要なことです。

3.試合中に立て直せる修正力

ポーランド戦の0-2からの逆転は、気合と根性といった精神論だけで説明できるものではありません。

攻撃のパターン(誰を中心に攻めるか)、サーブの狙い、ブロックでマークする選手の変更、レシーブ位置の位置関係を試合中に修正したからこそ、流れを変えることができました。

日本はブラジルやトルコほど高さのあるチームではありません。そのため、試合前に準備した戦術が通用しない場合、いかに柔軟に作戦を変更するか。また、変更された作戦を効果的な形で実現できるか。という対応力が重要になります。

相手の変化を見ながら戦い方を調整し、選手交代も含めて流れを変える能力は、日本が世界で勝ち進むために欠かせない強みです。

大阪ラウンドで見えた今後の課題

大阪ラウンドで見えた今後の課題

高いブロックに対する攻撃の選択肢

ブラジル戦では13本のブロックポイントを奪われました。トルコ、ポーランドも高さのあるチームであり、ハイセットやトスが読まれた際に完成したブロックを相手に失点する場面が多くありました。

そういったブロックに対して、

  • スパイクの角度を工夫してサイドラインでのブロックアウトを狙う
  • 指先を使ってエンドラインのブロックアウトを狙う
  • 体勢が整っていない状況ではリバウンドを取って攻撃をやり直す

といった選択肢を常に頭に入れながらプレーする必要があります。

すべてのトスを一度で決めようとするのではなく、不利な状況ではボールを失わず、次の攻撃機会を作る判断も重要です。

セット終盤のブレイクポイント

トルコ戦では、落とした3セットがすべて22-25でした。終盤まで競り合えているからこそ、20点以降にどのように1点を奪うかが課題になります。

サーブで攻めるのか、相手エースにブロックを絞るのか、守備位置を変えるのか。セット終盤は、チームとして狙いを明確にする必要があります。日本は長いラリーに強いチームですが、トップレベルの相手を相手にラリーを制することは簡単ではありません。

守るだけでなく、サーブやブロックから攻めて有利な形でラリーを継続することがブレイクポイントを取るために必要なことだと思います。

主力選手への負担の分散

和田選手はトルコ戦とポーランド戦で連続して27得点を記録しました。高い得点力は大きな武器ですが、決勝ラウンドでは短い期間に強豪国との試合が続きます。特定の選手に攻撃が集中しすぎれば、疲労の蓄積や相手の徹底したマークにつながります。

和田選手が苦しい場面で得点を取る一方、サーブレシーブが安定した場面ではミドルを使い、石川選手や佐藤選手へのトスも分散する。この配分のバランスを維持できるかが、今後の重要なポイントです。

VNLを見て自分のプレーも見直したい方へ

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まとめ|ポーランド戦の逆転勝利を決勝ラウンドにつなげられるか

VNL2026女子日本代表は、大阪ラウンドを2勝2敗で終えました。ブラジルには1-3、タイには3-1、トルコには1-3。最後のポーランド戦では、第1・第2セットを落としながら3-2で逆転勝利し、予選6位で決勝ラウンド進出を決めています。

大阪ラウンドで見えた日本の強みは、和田由紀子選手の決定力、石川真佑選手と佐藤淑乃選手を含めた複数の得点源、そして試合中に戦い方を変えられる修正力です。

一方、ブラジルやトルコとの試合では、高いブロックに対する攻撃、セット終盤の得点力、主力選手への負担分散という課題も残りました。

特にポーランド戦の0-2からの逆転は、日本が守備だけのチームではなく、サーブと攻撃で試合の流れを変えられることを示した一戦です。

大阪の観客の前で手にした劇的な予選突破を、決勝ラウンドでどのような結果につなげられるのか。世界の強豪国を相手に、日本女子代表がどこまで勝ち上がれるか注目です。

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